コスモテック
株式会社コスモテック

開発実績詳細DEVELOPMENT ACHIEVEMENT DETAILS

世界初!ウレタン系保護フィルムの開発URETHANE PROTECTIVE FILM

当社が世界で初めて開発し、いまは世界中で標準となった“ウレタン系保護フィルム”は、当初は、あるユーザーからの開発依頼に始まりました。
当社の顧客であるタッチパネルメーカーの製造工程で、マザーガラス保護のために使用していたアクリル系保護フィルムの糊残りが発生。様々なテープメーカー品を評価しても、要望に合うものが存在しなかったため当社にて新規に開発をすることになりました。

顧客の要望は

  • 糊残りがないこと:ガラスと貼り合わせ後、温度40℃湿度95%で4時間経過し、その後常温放置20時間後に剥がしても、ガラスへの糊残りが顕微鏡で確認できないこと
  • 粘着安定性:貼付け初期、および温度65℃湿度95%で4時間経過し、その後常温放置20時間後でも、ガラスに対する粘着力が十分に低く、剥離時にガラス上の処理を破壊しないこと
  • 吸着性(濡れ性):5cm×6cmにカットした試験片をガラスの上に置いて、自然に吸着すること

以上のような、非常に厳しいものでした。

当時の保護フィルムは、“シリコン系保護フィルム”、“アクリル系保護フィルム”の2つが主流でしたが、これらが顧客の要望を満たすことは非常に難しく、当社のシリコン系粘着剤、アクリル系粘着剤の様々な配合を試しましたが、顧客を満足させる性能を持つものはありませんでした。

そこで視点を変え、多岐にわたる樹脂を塗布し同様の評価を行ったところ、ある樹脂がアクリル系を超える吸着性(濡れ性)を示すことが判明。この樹脂の系列に対してさらに様々なものを入手し、数百にわたるサンプルの作成と評価を進めました。

その中で糊残りや吸着性(濡れ性)において十分な性能が見られた樹脂の探索と配合実験、改良を重ね、2009年世界初の “ウレタン系保護フィルム”がここに生まれました。

顧客ではさらに厳しいテストが行われましたが、その全てにパスし、その性能に関して問題が無いこと、さらに既存製品を超える性能が確認されました。

この世界初の“ウレタン系保護フィルム TP-2316”は、シリコン系保護フィルムがもつ優れた吸着性(濡れ性)を持ちながら、アクリル系保護フィルム程度に廉価で、かつ糊残りを全く起こさない、全く新しいタイプ保護フィルムとして最大シェアをもつタブレット向けのタッチパネルを製造するメーカー(台湾)に採用され、また、それをきっかけに日本、台湾、韓国でも販売を積み重ねています。当社が全く新規に開発した“ウレタン系保護フィルム”は、その後、大手メーカーを始めとして様々なメーカーが参入し、アクリル系、シリコン系に続く第3の保護フィルムとして一定の市場を確立しています。

表面コーティング技術を応用した初のBtoC製品「wemoウェアラブルメモ」wemo

「wemo ウェアラブルメモ」は、「いつでも どこでも、書ける 思い出せる」をコンセプトにした身につけるメモ帳です。

もともと当社では、「水を使わず簡単に貼れて、剥がれにくく、簡単にはがせる肌に貼るシールがほしい」という顧客の要望で、肌用の特殊転写シール(タトゥーシール)を開発していました。一般的な水転写(水を利用した転写)方法ではなく、当社では感圧式で簡単に貼れるシールを開発。伸縮性に優れているため貼っている違和感がなく、耐水性をもち簡単には剥がれず、剥がす際にボロボロにならずきれいに剥がせるという優れた特長を併せ持ちます。この肌用転写シール技術は、タトゥーシール以外の用途にも転用され、現在は酪農分野でも応用されています。

この技術の新たな用途展開を、デザインコンサルティング会社であるkenma Inc.と模索している中、忙しい看護師さんが、病院で手にメモをせざるを得ない状況をみて、この肌用転写シールをメモ帳として使用する「肌メモ」の着想を得ました。

開発を続ける中、現場の方々がより使いやすい形を求め、「肌メモ」は、シリコンバンドに特殊なコーティングを施した腕に巻くメモ「wemo バンドタイプ」に生まれ変わりました。

「wemo」は、シリコンゴムの表面に、当社のもつ高分子技術を応用した特殊なコーティングを施すことで、油性ボールペンで「書き」、指や消しゴムで「消せる」機能を付与しています。
その実現のために、市場にある様々なインクをテストし、最終的に紙のような滑らかな書き心地を実現。
また、工業用テープメーカーとしての知見を活かし、製品化に向けて評価基準を作成、品質の標準化、安定化を達成しました。

当社のもつ高分子技術を応用したwemoは、当社にとって文房具業界への初めてのチャレンジでしたが、発売からおよそ2年半で販売総数50万本を突破する大ヒット商品となりました。

その優れたデザイン・機能性により2019年にはG20大阪サミットの各国来賓の記念品にも選定されています。

wemoに使われた表面コーティング技術は、あらゆる形態の製品に応用可能!現在発売中のwemoシリーズのみならず、新たな製品開発、共同開発も進めています。

φ0.5mmの精密打ち抜き加工PRECISION DIE-CUTTING

ある顧客より、小型スイッチに内蔵される部品として「φ0.5mmに打ち抜いた粘着テープを、120×100mmの台紙上に500個以上配置したシート」の量産を依頼されました。

この製品は、小型スイッチのさらなる微小化とクリック感の向上のためにはなくてはならないものでしたが、サイズがφ0.5mmと微細なうえ、公差±0.05mmというかなりの精度が要求され、通常のテープ加工の精度を遥かに超えるものでした。

また顧客の工程の生産性向上のために、500個以上の製品がズレなく整然と配列されている必要がありました。これほど微細な製品を加工する場合、通常の打ち抜き加工では、粘着テープが台紙からズレまたは飛んでいってしまうことがありますが、もちろん500個中1つでもズレまたは飛んでしまった場合は不良品となります。

これまでの方法では、厳しい顧客の要求を満たすことは難しいと考え、様々な試行錯誤を経て、当社では専用の抜き型を設計。高精度の打ち抜きが可能な上、製品を台紙に定着させる性能をもつ非常に精巧なものです。

様々な会社がトライする中、この要求を満たす製品を作ることが出来たのは当社だけでした。当社は、顧客の厳しい要求仕様をクリアした上で、安定した製品加工を実現し、顧客の新製品の発売に貢献することができました。